ここ数年、クリエーションの世界では古き良き時代の手仕事や伝統的な技などが見直され、若い世代でも魅力を感じる人が増えています。住宅建築においても現代の西洋的なライフスタイルの中に和風のエレメントをちりばめることが十分可能であり、和洋折衷的な斬新かつ新鮮なデザインが生まれます。本日は6TH STUDIO / 一級建築士事務所 スタジオロクの手がけた和モダンのテイストあふれる住宅を紹介したいと思います。
水平性を強調するシックな色合いの控えめな外観をもつ3階建ての2世帯住宅です。道路側はプライバシーに配慮し一部の開口部以外は水平方向の木製ルーバーで覆っています。
セットバックして配置した住宅に一枚壁を設けることで奥行きのある玄関ポーチが作られました。玄関に至るまでの距離というのは外から内へ入るまでの中間領域であり精神面での閾でもあります。半透明の開口部からはほのかな内部の気配を感じることができます。さりげなく日本独特の精神世界を表現していると思いませんか?
ダイニングから和室とその隣の階段をみたところです。空間をほど良く仕切る木の格子、障子や畳など和モダンのテイストあふれるデザインです。
ミニマルなデザインの白いダイニングテーブルと椅子を組み合わせています。北欧風のデザインは和モダンとの相性がぴったりなんです。吹き抜けのあるリビング空間と連続する開放的な間取りです。
ダイニングのすぐ背後には壁に沿ってワークスペースが設けられています。主要な生活空間に家族が皆で使えるワークスペースを加えることは機能面及び空間の有効利用面においても優れたアイデアと言えるでしょう。
障子という古典的なエレメントを現代風にアレンジして積極的に取り入れることで、柔らかな光の空間を表現することを再認識できるような住宅です。2世帯住宅ということもあり、世代の異なる住人の好みをまとめるのは時として難しいこともありますが、このプロジェクトでは調和のとれた和モダンのテイストがうまく表現されています。
和室の赤いエレメントとワークスペースの赤い椅子がさりげなくコーディネートされていて粋な和モダンのテイストと調和した空間ですね。黒地に花模様の建具も斬新なデザインです。
朱塗りの床の間、塗り壁、小窓、斬新な建具、光の演出などディテールにこだわった美しい和モダンの世界が広がります。多目的に使える和室は現代の住宅にもできれば取り入れたい1室ですね。
リビングは吹き抜けになっており、上部に設けられた開口部に切り取られた空の景色が絵のようです。和モダンのテイスト溢れる照明が空間の高さをさらに強調します。壁にスリット状に設けた棚、足元に配置した開口部など至るところに建築的な工夫がなされています。
壁の仕上げや洗面ボウルに和モダンのテイストの効いた素材を選んでいます。特にお年寄りのいる家庭ではこのようにゆったりとしたトイレを計画するのは大事ですね。